葬送儀礼のゆくえ
葬儀の形態が急変している。10年近く前に東京から広がった「直葬」が地方都市に浸透して行っている。大阪ではバスが「直葬・15万」の広告を背負って走っているそうだ。
死亡して24時間経つと火葬ができる。これまでのような葬式をせず遺体が病院などから直接火葬場に運ばれ、たまに火葬炉の前で簡単なお経を上げることもある程度の直葬は、いわば葬送儀礼の省略化であり宗教性の無視化だ。
10年前、これから我われの業界が忙しくなる、と葬儀業者はほくそえんでいた。仏教界の僧侶たちも内心おなじ思いだったろう。団塊世代の親たちが鬼籍に入り、続いてベビーブーマーも亡くなっていく、と…。
目論みは見事に外れた。葬儀もお経もない直葬がこんなに流行するなど、10年前は誰も予想だにしなかった。
不明朗な葬儀料金や院号に、あぐらをかいていた業者や僧侶の姿勢を糾弾することはた易い。確かに不透明な時代を読む努力を怠ったこともあるが、日本人の精神の根幹にある宗教性の喪失を生むような社会的教育が為されてこなかったことが、第一の原因だ。
直葬が3割を超えると言われる背景にあるのは、生活格差の拡大で葬儀費用が払えない人が多くなった、高齢者の死亡で肩の荷が降りたと思うひとが増えた、などとされるが、例え貧乏で質素であっても、宗教心があれば親や身内の葬儀はそれなりに執り行なおうと思う筈だ。
私共の研究会は「神葬祭の推進活動」を行っている。かたちだけの儀式はときが経てばいずれ飽きられる。古代から受け継ぐ神道式葬祭の持つ精神性を伝えることが、神葬祭を普及させ、これを執行する神職の使命だろう。
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